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日本における火葬場からの棺の要求要件と対応について
(2007 年 10 月火葬研究協会大会で発表)
*環境にやさしいエコ棺エコフィン[ノア]をより良くする為に、私たちは燃焼実験を繰り返し行い、得られるデータをもとに改善し、より良い製品づくりを目指ししています。
以下は2007年に開催された火葬研究協会で発表した内容です。
日本における火葬場からの棺の要求要件と対応について
増田進弘*1
1.はじめに
アメリカでは火葬の普及に伴い、火葬用のダンボール製棺がかなり利用されている。通常アメリカでは棺はカスケット(Casket)と呼ばれるが、火葬用の段ボール製棺はコンテナ(Container)と表現されている。
病院で亡くなった後、直接遺体を火葬場へ運び、葬儀などの宗教儀礼や遺族によるお別れを行わずに、火葬を行うダイレクト・クリメーション(DirectCremation)が増えており、段ボール製棺は、遺体を入れる容器に近い扱いとなっている。
既発表 1) で段ボール製棺の燃焼や環境問題について述べたが、日本では段ボール製の棺がまだ好意的に受入れられているわけではない。広く普及している、合板製フラッシュ構造棺に対応できるよう、継続的に段ボール製の棺の開発を行っている。
ここでは、日本における、火葬場から見た棺に要求させる要件をもとに、今後のダンボール製棺の製品開発のための資料を得ることを目的に、火葬炉による燃焼テストを行い、燃焼状況について分析を行った。
2.アメリカでの棺の要求要件
アメリカでは亡くなった後の遺体は、埋葬が基本である。葬儀から埋葬への流れをみると、病院・自宅等で死亡したあと、通常家には戻らず直接フューネラルホーム(葬儀社が経営する葬儀場)へ安置される。フューネラルホームでは、遺体処置と保管、エンバーミングが行われる。フューネラルホームには、通常ビジティングルームと呼ばれる部屋があり、エンバーミング処置後のご遺体と訪問した会葬者が面会する「ビューイング」が行われる。また、葬儀・告別式にあたる
儀式としてフューネラルチャペルにおいて、告別式や追悼式が行われる。
埋葬が基本であり、遺体を丈夫な棺に入れて保管することが必要要件で、丈夫な棺が求められた。フューネラルホームでは、何種類もの棺のカットモデルが置かれ、単純なデザインのものから精巧なものまで、多種多様なスタイルがあり、実際に棺の質感を確認しながら選ぶことになる。材質によって価格も大きく異なる。埋葬用の棺の材質は、ブロンズ製、銅製、ステンレス製、スチール製などの金属製と、硬質木材製がある。硬質木材としては、マホガニー、チェリー、オーク、ポプラ、カエデなどがあり、天然木の外観と特性を評価する人々によって好まれます。木製家具にみられるような暖かさと美しさは、理想的で良質な棺の製造に適している。
棺に要求されるのは、丈夫さのだけではない。エンバーミング処置後の遺体と訪問した会葬者が面会するビューイング(ビジティング)が行われる。棺の中に
眠っているように遺体が置かれ、ブーケなどで装飾もされる。したがって棺のデザインにも配慮されている。葬儀業者のパンフレットをみると、最低 395 ドル(約5 万円)から8 万9,500 ドル(約1,120 万円)まで、50 種類近くの棺が販売されており、この棺販売売上が葬儀社としての利益の源泉にもなっている。
火葬の場合も棺の材質によって、価格が大きく異なるが、棺ごと火葬するので、可燃性の材質で造られている。天然木の製品や合板製のものがあるが、これらの材質の棺は、ビューイングを選定する場合に選ばれる棺である。値段はダンボール製の 25 ドル(約 3 千円)から最高1,650 ドル(約20 万円)となっている。火葬しかしない場合は、ダンボール製の棺(コンテナ)が選ばれ、最も安いものは、棺というよりも、遺体を入れる段ボール製の容器と言った感じである。燃やすだけで、葬送儀礼を伴わないので、外観は問わないということである。

写真1 木製家具のような棺 
写真2 ショールームに並ぶ棺
写真3 火葬用棺とコンテナ 
写真4 段ボール製コンテナ
3.日本での火葬場からの棺の要求要件
以前、アメリカで使われている段ボール製の棺の輸入を行ったが、デザインの嗜好の差もあり一般には普及しなかった。また日本で普及している棺の大きさと比べ大きく、日本の火葬炉に納まらないケースがあり、日本用を開発することととした。
環境問題も一つの要素であるが、ダンボールの素地そのままでは遺族から安価なイメージをもたれるため、日本のニーズに合わせ、布張り仕上の棺を開発した。
過去の燃焼テストでは、排ガスの状況も合板製の棺と比べ良好な結果が得られていたが、古紙の含有量を多くしたことにより残渣が懸念された。
集塵装置を備えた強制排気方式の火葬炉での燃焼テストではほぼ完全燃焼し、拾骨に影響を及ぼすような残渣は残らなかった。関東の火葬場では、残渣に対するクレームはみられなかったが、東北では、残渣が多いというクレームがみられた。
火葬場ごとに、排ガスや火葬炉設備への影響、拾骨の妨げになることを避けるため、副葬品を制限する例がみられるが、燃焼に影響する懸念がある棺も制限する場合もある。
安定した燃焼が行える棺を開発することが、製造者の責務であるため、現状を把握するため火葬炉設備の調査を行った。地方では、小規模の火葬場が多く、建設年が古い火葬場もあり、自然排気方式などの排気能力が劣る火葬炉設備が存在している。そのような火葬場で残渣がみられるというクレームがみられた。
要因は不明であるが、そのような火葬場でも問題無く燃焼することができることが、製品として要求されるため、燃焼テストを行うものとした。
4.燃焼実験の結果
盛岡市火葬場は1982 年年4 月に供用開始し、25 年が経過しており、灯油を燃料とした、エゼクター排気方式の火葬炉である。
ここで棺の材質によっては残渣がみられるということで、その要因を探るため、2007 年8 月19 日(土)に燃焼テストを行った。紙類の残渣は白い灰となって残り、残渣が多いと、焼骨が分かりにくく拾骨作業がしにくいということであった。
段ボール製の棺を使用し遺体の火葬を2 体行い、終了後に残渣の確認を行い、合板製の棺での火葬と比較を行った。火葬は通常と同じ操作とし、遺体の火葬が終了した目視による確認の後、バーナーを消火した。火葬時間は合板製棺と比較して、火葬時間は問題とならなかった。1 体目の火葬は残渣がみられたが、確認の結果、副葬品の本の影響であることが分かった。
2 体目は、1 体目より火葬時間が早かったが、拾骨に影響となる残渣はみられなかった。職員も段ボール製の棺の使用は問題無いと理解を得ることができた。


